はじめに
前回の記事では、「新NISAの枠を何年で埋めるかというスピードよりも、自分の人生から逆算した計画を持ち、やめずに継続することのほうが、資産形成でははるかに大切」というお話をしました。
しかし、どれだけ「長期投資は継続が大切」と頭で理解していても、実際に暴落が起きると冷静でいるのは簡単ではありません。資産が数十万円、数百万円と減っていく画面を見ると、「このまま戻らなかったらどうしよう」「今売ったほうがいいのでは?」そんな気持ちになるのは、ごく自然なことです。
私自身も、投資を始めたばかりの頃は株価が下がるたびに証券口座を開き、評価額を何度も確認していました。含み損を見るたびに落ち込み、「積立を止めたほうがいいのでは」と考えたこともあります。
そんな私が暴落を以前ほど怖く感じなくなった理由は、投資経験だけではありません。長期投資の考え方を教えてくれた本との出会いが、大きな支えになりました。
この記事では、
- 暴落時に思い出したい長期投資の考え方
- 私が投資を続ける軸になった4冊の名著
をご紹介します。暴落は避けられません。しかし、正しい知識と考え方があれば、必要以上に恐れるものでもありません。
1.暴落で一番大切なのは「何のために投資しているか」を忘れないこと
暴落すると、多くの人は株価ばかりを見てしまいます。
昨日より10万円減った。今月だけで50万円減った。SNSでは「まだ下がる」「世界経済は終わりだ」という投稿が流れてくる。すると、いつの間にか「投資で勝つこと」が目的になってしまいます。
でも、本当にそうでしょうか。 私たちが投資をしている理由は、毎日の株価で一喜一憂するためではありません。未来の自分の選択肢を増やすためです。
私自身であれば、
- 50代半ばには働き方を自分で選べる状態をつくること
- 新NISAを埋めた後は、高配当ETFからの分配金を楽しみながら生活すること
を目標にしています。
目指しているのは、来月の利益ではありません。10年後、20年後の自分を支える資産です。だから、数週間や数か月の株価で投資方針を変える必要はないと考えています。
投資では、「どれだけ儲かったか」よりも、「何のために投資をしているのか」を忘れないことのほうが大切です。
考え方を変えてくれた一冊:『DIE WITH ZERO』
この本は投資本というより、「人生とお金の使い方」を考えさせてくれる一冊です。
資産形成のゴールは、お金を増やし続けることではありません。お金を使って人生を豊かにすることです。私はこの本を読んで、「資産1億円を目指すこと」が目的ではなく、「働き方を自分で選べる自由を手に入れること」が本当の目的なのだと気づきました。
暴落が起きても慌てなくなったのは、この「目的」が明確になったからです。ゴールがぶれなければ、途中の株価は単なる通過点に過ぎません。投資初心者だけでなく、資産形成に少し疲れれてきた人にもぜひ読んでほしい一冊です。
2.暴落は「異常な出来事」ではなく、投資の一部
暴落が起きると、「今回は今までとは違う」という言葉をよく耳にします。しかし、歴史を振り返ると、この言葉は何度も繰り返されてきました。
- ITバブル崩壊
- リーマンショック
- コロナショック
当時は「世界経済は終わった」と言われました。それでも、世界経済は成長を続け、株価も長い時間をかけて過去最高値を更新してきました。
もちろん、将来も同じ結果になる保証はありません。しかし、世界中の企業は利益を生み、人々は働き、技術は進歩し、経済は発展を続けています。世界全体へ分散投資するインデックス投資は、その成長を信じる投資でもあります。
だから私は、「暴落は失敗」ではなく、「長期投資には必ず訪れるイベント」だと考えています。暴落を避ける方法はありません。でも、暴落を前提に投資を続けることはできます。その違いはとても大きいと思います。
データで不安を安心に変えてくれた一冊:『JUST KEEP BUYING』
この本は、「感覚」ではなく「データ」で投資を教えてくれる一冊です。
著者は膨大な市場データをもとに、「暴落を待って買うよりも、今すぐ投資を始めて買い続けるほうが有利だったケースが圧倒的に多い」という事実を示しています。
投資初心者は、「もっと下がってから買おう」と考えがちです。私も以前はそうでした。でも、この本を読んでからは、「未来は誰にも予測できないのだから、自分にできるのは淡々と買い続けることだけ」と考えらえるようになりました。
暴落を予想することよりも、積立を続けること。それが長期投資では一番再現性が高い方法なのだと教えてくれた一冊です。
3.積立投資は、暴落のときこそ力を発揮する
暴落は誰にとっても気持ちの良いものではありません。資産が減れば、不安になるのは当然です。
しかし、積立投資を続けている人には、もう一つの見方があります。それは、「同じ金額でより多く買える期間」だということです。
積立投資(ドル・コスト平均法)は、毎月決まった金額で投資信託やETFを購入します。株価が高いときは少なく買い、株価が安いときは多く買う。これがドル・コスト平均法の仕組みです。
普段買いたいと思っている商品が30%オフになっていたら、多くの人は嬉しいと感じるでしょう。ところが株式だけは、不思議なことに値下がりすると「もう買わないほうがいいのでは」と感じてしまいます。これは人間の心理として自然な反応です。だからこそ、あらかじめ積立という仕組みを作っておくことが大切なのだと思います。
私自身、2028年までに新NISAの生涯投資枠1,800万円を埋める計画で投資を続けています。そのため、積立期間中に暴落が起きたとしても、「今だけ安く買える期間」と考えるようにしています。
そして、暴落がいつ来るかは誰にも分かりません。来月かもしれませんし、5年後かもしれません。だから私は、「暴落を待つ」のではなく、「毎月買い続ける」という方法を選んでいます。
積立投資を「仕組み」にしてくれた一冊:『ほったらかし投資術』
この本は、日本でインデックス投資を始める人にとって、まさにバイブルとも言える一冊です。
タイトルの「ほったらかし」という言葉だけを見ると、「何もしなくていい」という意味に聞こえるかもしれません。しかし、本当に伝えたいことは違います。最初に正しい仕組みを作り、あとは余計なことをしない。これが長期投資で成果を出すための基本だと教えてくれます。
投資を始めたばかりの頃の私は、毎日のように株価を確認し、「今日は上がった」「今日は下がった」と一喜一憂していました。新しい投資信託が出れば気になり、SNSで話題の銘柄を見つけると、「乗り換えたほうがいいのでは」と考えたこともあります。
しかし、この本を読んでからは考え方が大きく変わりました。自分で決めた資産配分を守り、自動積立を設定したら、あとは本業や家族、自分の人生に時間を使う。そのほうが結果として長く投資を続けられ、資産形成にもプラスになると実感しています。「何を買えばいいか」よりも、「どう続けるか」を教えてくれる一冊です。
4.暴落で一番怖いのは「株価」ではなく「自分の感情」
暴落そのものは避けられません。しかし、多くの人が資産を減らしてしまう原因は、暴落ではありません。暴落中に自分のルールを破ってしまうことです。
- 株価が下がる
- 不安になる
- 売却する(狼狽売り)
- その後、市場が回復する
長期投資で一番避けたいのは、この流れです。
恐怖に負けて資産を売却してしまうと、含み損を確定させるだけでなく、その後の回復局面で得られたはずの利益まで手放してしまう可能性があります。
私自身も投資を始めた頃は、株価が下がるたびに証券口座を開き、「今売ったほうがいいのでは」と考えたことが何度もありました。でも、そのたびに思い出すようにしていることがあります。
評価額を何度見ても、株価は変わらない。自動積立が続いているなら、自分がやるべきことは終わっています。あとは市場に任せるだけです。
だから私は、相場が大きく荒れているときほど、証券口座やSNSを見る回数を減らすよう意識しています。情報を集めすぎることが、かえって不安を大きくしてしまうこともあるからです。
メンタルの大切さを教えてくれた一冊:『サイコロジー・オブ・マネー』
この本を読んで最も印象に残ったのは、「投資の成功は、知識よりも行動で決まる」という考え方でした。
どれだけ優秀な投資家でも、人間である以上、不安や欲に影響されます。だからこそ、「夜ぐっすり眠れる投資」を選ぶことが大切だと著者は語っています。
私はこの考え方にとても共感しました。どんなに期待リターンが高くても、不安で眠れなくなる投資では長く続きません。自分が安心して続けられる投資方法こそ、自分にとって最適な投資なのだと思います。暴落時に読み返したくなる、まさに「心のお守り」のような一冊です。
5.40代会社員の最大の武器は「入金力」
投資の話になると、多くの人は「どの商品を買うか」に注目します。もちろん商品選びも大切です。しかし、40代会社員にとって、それ以上に重要なのが「入金力」です。
- 安定した収入がある
- 毎月積み立てられる
- ボーナスも投資に回せる
この積み重ねこそが、資産形成を加速させる最大の武器になります。
私自身、投資を始めた頃は月8,000円の積立からスタートしました。その後、旧つみたてNISAを満額積み立てられるようになり、現在では新NISAを中心に毎月15万円以上を投資しています。
ここまで来られた理由は、株価を予想できたからではありません。家計を整え、本業に力を入れ、入金力を高め続けてきたことです。
だから私は、株価よりも仕事を大切にしています。本業で成果を出し、収入を増やし、その一部を淡々と投資に回す。このサイクルができれば、一時的な暴落は長い人生の中では小さな出来事になります。
まとめ|暴落は「投資方針」が試される瞬間
投資を続けていれば、これから先も何度か大きな暴落を経験するでしょう。そのたびに、不安になることもあると思います。でも、そんなときこそ思い出してほしいことがあります。
今回ご紹介した4冊に共通しているのは、「未来は誰にも予測できない」という事実です。だからこそ、
- 投資をする目的を忘れないこと
- 市場に居続けること
- 積立を止めないこと
- 自分の感情とうまく付き合うこと
これが長期投資では何よりも大切です。
私は今でも、暴落が来たら少しは不安になります。でも、「また来たか」と思えるようになりました。それは、市場を予測できるようになったからではありません。今回ご紹介した本を読み、長期投資の考え方を学び、自分なりの投資方針を持れるようになったからです。
投資初心者の頃は、「何を買えばいいか」が一番気になります。でも、本当に資産形成を左右するのは、「どう続けるか」です。
もし暴落が怖いと感じているなら、まずは知識を増やしてみてください。知識は、不安を和らげてくれます。そして、その知識が長期投資を続ける自信につながります。
焦らず、慌てず、そして気張らずに。 未来の自分のために、積立投資を続けていきましょう。


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