はじめに
資産形成を始めるとき、多くの人が取り入れるのが、NISAやiDeCoを活用したインデックス投資ではないでしょうか。
私自身も、毎月の先取り投資としてインデックスファンドを淡々と積み立てています。
なぜインデックス投資を選んでいるのか。
100点満点の「最適解」だと考えているからではありません。私にとって、「一番外しにくい選択」だと考えているからです。
世界中の株式などに広く分散することで、特定の国や企業に投資先を集中させずに済む。もちろん株式なので大きな値下がりが起こる可能性はあります。
それでも、将来のための資産形成という目的から大きく外れにくい投資先として、私はインデックス投資をコアにしています。
ただ、そんな「外しにくい投資」を数年間続けてきた中で、最近一つの素直なモヤモヤを感じるようになりました。
「資産は増えている。でも、今の生活が豊かになっている実感は、それほどない……」
これは、インデックス投資に不満があるという話ではありません。むしろ、インデックス投資はこれからも資産形成の中心にしていくつもりです。
そのうえで私は、VYMやVIGなどの米国ETFを中心に、配当を受け取れる投資信託もサテライトとして組み合わせています。
今回は、長期投資を続ける中で感じた「手応えのなさ」と、それを解消するために、なぜ配当というキャッシュフローを取り入れたいと考えるようになったのかを書いてみます。
1. 長期投資を続けて感じた「生活が良くなっている実感のなさ」
インデックス投資は、一度設定してしまえば、あとは淡々と積み立てを続けられます。手間も少なく、長期の資産形成を考えるうえでは非常にシンプルな方法です。
私自身、実際に資産残高が増えてくることで、
- 「これだけ資産があれば、何かあっても以前よりは対応できる」
- 「将来に対する不安が少し減った」
という感覚を持つようになりました。これは、資産形成を始める前にはなかった大きな変化です。
ただ、ここで一つ気づいたことがあります。
「将来への安心」と「今使えるお金の余裕」は、同じではない。
例えば、インデックス投資の評価額が100万円増えたとしても、それによって今月の給料が増えるわけではありません。
もちろん、必要になれば投資信託を売却して使うことはできます。でも、それは「将来のために積み立てている資産を取り崩して、今使う」ということになります。
そのため私の場合、資産残高が増えていることによる心理的な安心感はあっても、「今の生活で自由に使えるお金が増えた」という実感は、それほどありませんでした。
「将来の資産を増やすこと」と「今の生活に使えるお金を増やすこと」は、少し違うものなのだ——。資産形成を続ける中で、そう強く感じるようになったのです。
2. 「将来の資産」と「今使えるお金」を分けて考える
私が配当を受け取れるETFや投資信託に魅力を感じている理由は、単純に「配当金がもらえるから」だけではありません。
「今使えるお金の余裕」が少しずつ生まれることで、インデックス投資の資産を取り崩す場面を減らせるのではないか。
そう考えているからです。
例えば、急に趣味にお金を使いたくなったとき。インデックス投資しか持っていなければ、「せっかく積み立ててきた資産だけど、少し売って使おうか」と考えることもあるかもしれません。
もちろん、資産を必要なときに取り崩すこと自体は悪いことではありません。投資は最終的に、人生を豊かにするためのお金だからです。
ただ、私としては、できるだけ「将来のために育てている資産」と「今の生活に使うお金」を分けておきたい。
そこで、配当金というキャッシュフローがあることに意味を感じています。たとえ年間数万円でも、
- 「今年の配当金はゴルフに使おう」
- 「この配当金で釣り道具を買おう」
と考えることができれば、インデックスを売却することなく、投資の成果を今の生活に還元できます。そして何より、「投資しているお金が、実際に自分の生活を少し豊かにしてくれた」という実感を持つことができます。
3. 投資の成果を「数字」だけで終わらせたくない
インデックス投資では、口座の評価額が増えていくことで資産形成の成果を確認できます。
- 「もし会社を辞めたくなったら」
- 「働き方を変えたくなったら」
- 「何か大きな出費が必要になったら」
そうした将来の選択肢を増やす意味で、これは非常に大きな安心につながります。
ただ、それだけでは日々の生活そのものが変わるわけではありません。一方、配当金であれば、一定のタイミングで現金として受け取ることができます。
もちろん、配当金があるから投資効率が高くなるという単純な話ではありません。配当金は企業やファンドから投資家に資金が分配されるものであり、配当を受け取ったこと自体が「追加の利益」になるわけでもありません。
それでも私にとっては、「投資しているお金が、実際に現金として生活に戻ってくる」という仕組みそのものに魅力を感じています。
- インデックス投資: 将来の資産を育てる
- 配当金: 今使えるお金の余裕を少し作る
この二つを組み合わせることで、投資の成果を「口座残高」だけではなく、「生活の実感」として感じられるようになるのではないかと考えています。
4. これからの戦略:インデックス投資をコアに、配当を生むETFをサテライトに
そこで私が取り入れているのが、「コア・サテライト」という考え方です。
🛡️ コア(約8割):インデックス投資
将来の資産を作るための「外しにくい土台」です。ここは大きく変えず、これまで通り淡々と積み立てていきます。
🌿 サテライト(約2割):VYM・VIGなどのETFや配当を受け取れる投資信託
今の生活にも投資の成果を少しずつ還元していくための枠です。
ここで私が考えているのは、個別企業の株を一社ずつ選んで、高い配当利回りを狙うような投資ではありません。VYMやVIGのように、多くの企業に分散して投資できるETFを中心にすることで、個別株の銘柄選びに時間をかけすぎず、配当というキャッシュフローを取り入れたいと考えています。
- VYM: 比較的高い配当利回りを重視した米国株ETF
- VIG: 10年以上連続増配してきた企業を中心とした米国株ETF
どちらも特徴は異なりますが、私としては「とにかく高い配当をもらいたい」というより、分散投資を維持しながら、配当という形でも投資の成果を感じられることを重視しています。
※なお、ここでいう「8:2」は絶対的な固定比率ではありません。今後の資金配分を考えるうえでの、現在の自分なりの目安です。資産が増えたり、年齢や働き方、生活スタイルが変わったりすれば、このバランスも変わっていく可能性があります。
5. なぜVYM・VIGなどをサテライトに取り入れたいのか?
理由を整理すると、以下の4点に集約されます。
① 「今使えるお金」の余裕を少し作りたい
資産残高が増えることで、将来への心理的な余裕は生まれます。一方で、それだけでは現在の生活で使えるお金が増えるわけではありません。配当金という形で少しずつキャッシュフローが生まれれば、「今年はこのお金で趣味を楽しもう」という使い方ができます。最初は年間数万円でもいい。その小さな余裕が、投資を続けるモチベーションになると考えています。
② インデックスを取り崩すきっかけを減らしたい
将来のために積み立てているインデックス資産は、できるだけ長く育てていきたいと考えています。もちろん、必要なときには取り崩せばいい。ただ、今使いたいお金を配当金である程度まかなえるのであれば、インデックス資産を売却する場面を減らせる可能性があります。「今の楽しみのために、将来の資産を売る」という場面を少し減らせられることは、私にとって大きなメリットです。
③ 投資の成果を生活の中で実感したい
その配当金でゴルフに行く、釣り道具を買う、ちょっとした外食をする。そうすることで、「投資をしてきたことが、今の自分の生活にもつながっている」と実感できます。これは、資産形成の効率とは別の価値だと思っています。
④ 長期投資を続ける土台を強くしたい
結局、私が一番大切にしているのはここです。投資は長期間続けるからこそ、資産形成の力を活かしやすくなります。だからこそ、「理論上もっとも効率がいい方法」だけを考えるのではなく、「自分が無理なく続けられる方法は何か」を考えることも重要だと思っています。配当という小さなキャッシュフローを加えることで、「投資を続ける → 配当を受け取る → 今の生活を少し楽しむ → また投資を続ける」という循環を作れるのではないかと考えています。
6. 配当金を取り入れるうえで知っておきたい注意点
ここまで配当金の良さを書いてきましたが、もちろん注意しておきたいこともあります。
① 配当金は「無料でもらえるお金」ではない
配当金は、企業やファンドが保有する資産の一部を投資家に分配するものです。配当が出た分だけ株価や基準価額は下がるため、「配当金をもらった=その分だけ資産が増えた」と単純に考えることはできません。配当を受け取ること自体が、投資全体のリターンを高めるわけでもありません。私にとって配当金は、資産形成の効率を高める魔法ではなく、現在の生活に回すことができるキャッシュフローという位置づけです。
② 高い配当利回りだけを追いかけない
「高い配当利回り=良い投資」とは限りません。配当利回りだけを見て投資先を選ぶと、値下がりや減配など、別のリスクを見落とす可能性があります。だからこそ私は、個別株を一社ずつ選んで高配当銘柄を探すのではなく、VYMやVIGなど、複数の企業に分散されたETFを中心にしています。
③ 配当金は減ることもある(減配リスク)
配当金は将来にわたって一定額が保証されているものではありません。企業の業績や市場環境などによって、配当が減ったり、場合によってはなくなったりすることもあります。「毎年○万円の配当金が必ず入ってくる」と考えて生活費を配当に依存するような計画にはせず、あくまで生活を少し楽しむためのプラスアルファとして考えています。
④ 税金や為替も考える必要がある
米国ETFなどから受け取る配当金には税金(現地税・国内税)がかかります。また、海外資産の場合は為替の影響も受けます。実際に手元に残る金額は税金などを考慮した後の金額になるため、配当金を生活費の柱にするのではなく、趣味やちょっとした楽しみに使えるお金として考えています。
⑤ 大切なのは「配当額」よりも「続けられること」
配当金を増やすことに夢中になって、インデックスへの積立を減らしたり、リスクを取りすぎたりしてしまえば本末転倒です。私にとって配当金は、資産形成そのものを置き換えるものではなく、資産形成を続けるためのもう一つの仕組みです。
7. 無理なく続けるための自分ルール
これらを踏まえ、私は以下のようなルールを意識しています。
- インデックス投資を中心としたコアの資産形成を崩さない
- サテライトは余剰資金の範囲で運用する
- 個別株の銘柄選びに時間をかけすぎない
- 配当利回りだけを追いかけず、VYM・VIGなど分散ETFを中心にする
- 配当金をただ再投資するだけでなく、今の生活にも使ってみる
- 「8:2」の比率に縛られず、ライフステージに合わせて柔軟に変える
コアを守ったうえで、今の生活にも投資の成果を還元していく。そして、個別株の値動きや配当利回りに振り回されすぎず、できるだけシンプルに続ける。それくらいの距離感で付き合っていきたいと思っています。
8. インデックス100%が効率的だと分かっていても
あえて書いておきたいと思います。私は、インデックス100%の方が資産形成の効率という意味では合理的な場合があることを理解しています。
だから、「配当を生むETFを組み入れた方が資産が増える」と言いたいわけではありません。資産形成の効率だけを追求するのであれば、インデックスに集中するという考え方も十分に合理的です。
それでも私は、「どうすれば自分が心地よく、長く投資を続けられるか」を考えたときに、今はこのくらいのバランスが自分には合っていると感じています。
投資は、理論上の効率だけで続けられるものではありません。自分が納得できること。無理なく続けられること。そして、投資をしていることで今の生活まで苦しくしないこと。こうしたことも、長期投資では大切なのではないかと思っています。
9. バランスは、これから変わっていく
今は「インデックス投資をコアにして、VYM・VIGなどをサテライトにする」という考え方ですが、これが10年後も同じとは限りません。
資産が増えれば、必要なリスクも変わるかもしれません。仕事を辞める時期が近づけば、資産の使い方も変わってくるでしょう。生活費や趣味にかけるお金が変わることもあります。
そうなれば、自分にとって心地よい投資のバランスも変わるはずです。だから、「今決めた比率を一生守る」とは考えていません。その時々の自分の生活や目標に合わせて、投資の形も柔軟に変えていけばいい。私はそう考えています。
まとめ|大切なのは「自分にとって続けやすい投資」を考えること
ここまで書いてきましたが、私は「配当を生むETFの方がインデックス投資より優れている」と考えているわけではありません。
むしろ、資産形成の効率だけを考えれば、インデックス投資に集中するという考え方が合理的であることは理解しています。
それでも私が、インデックス投資をコアとして、VYM・VIGなどのETFや配当を受け取れる投資信託をサテライトとして組み合わせたいと考えているのは、「どうすれば自分が心地よく、長く投資を続けられるか」を考えた結果です。
- インデックス投資: 将来の資産を淡々と育てる(コア)
- VYM・VIG: 今使えるお金の余裕を作り、生活の満足度を上げる(サテライト)
インデックス投資によって、将来の資産を育てる。一方で、配当金によって「今使えるお金の余裕」を少しずつ作り、投資の成果を現在の生活でも実感する。そうすることで、将来のために積み立てているインデックス資産を取り崩す場面を減らす。
そして、「投資していることが、今の生活にも少し役立っている」と感じられることが、私にとって長期投資を続けるための土台になると考えています。
SNSで「これが最適解」「この投資をしなければ損」といった情報に振り回されるのではなく、自分にとって何が心地よく、無理なく続けられるのかを考えること。
投資は、誰かと競争するものではありません。自分の収入、生活、年齢、将来の目標、そして「今をどう楽しみたいか」まで含めて、自分なりの答えを探していけばいいと思っています。
「外しにくい」インデックス投資を土台にしながら、VYM・VIGなどの分散ETFで配当という小さな実感も取り入れる。それくらいのバランスが、40代の自分にはちょうどいいと感じています。
これから先、その答えが変わることも含めて、自分の人生に合わせて投資の形を調整していきたいと思います。


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